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100歳にむけて、健康に良い食事(春口 佳美)

 人生100年時代を幸せに生きるためには、健康寿命(寝たきりや認知症で介護が必要な期間を含まない寿命)を延ばすことが大切です。そのためには「健康な食事」の実践が必要になります。

1.「健康な食事」とは

 健康な心身の維持・増進に必要とされる栄養バランスを基本とする食生活が、無理なく持続している状態を言います。(厚生労働省定義より)

2.健康な食事のポイント

 それでは、どのような食生活をこころがければよいのでしょうか。それは栄養バランスの良い食事をとることです。「これをとると健康に良い」と聞くと、同じ食品ばかりとってしまいそうになりますがこれは健康に良い食事とはいえません。

ポイント1! 1日3食、しっかりとりましょう  

みなさん、3食しっかりととっていますか。1日2食で済ましているという方もいるかもしれませんが、それでは、エネルギーや、その他の栄養素も十分にとれません。1日に必要な栄養素をとるためには1日3回、時間を決めて食事をとることが大切です。

ポイント2! 毎食、主食・主菜・副菜を組み合わせて食べましょう 

ご飯などの主食と、肉・魚・豆腐・卵などを使った主菜、そして野菜、海藻、きのこなどを使った副菜をそろえることで、栄養バランスの良い食事に近づけることができます。主食にはご飯やパン、麺など主に穀類の仲間を食べます。多く含まれる栄養素は炭水化物で、エネルギーのもとになります。主菜は、肉・魚・卵・大豆を使った料理です。特に、たんぱく質は筋肉を作る役割があります。副菜は、野菜・きのこ・いも・海藻類を使った料理です。ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含み、体の調子を整えます。
このように、主食・主菜・副菜は、それぞれ異なる役割があるため、この3つがそろう食事が大切なのです。(図1)

図1 1食の目安量

ポイント3! いろいろな食品を食べましょう

それぞれの食品に含まれている栄養素は、1種類ではありません。多様な食品を組み合わせることで、必要な栄養素をまんべんなくとることができます。
10品目の食品チェックシートを用意しました(図2)。3食の中でこの10品目を組み合わせて食べることで必要な栄養素をバランスよくとることができます。

図2 10品目の食品チェックシート(相武台病院栄養科作成)

3.特に、たんぱく質は重要です!

 今までお伝えしたように3食しっかり食べることや主食や主菜、副菜を考えて食べることが重要ですが、それらを意識した食事の中で、たんぱく質を特に不足しないように注意することも必要になります。たんぱく質は体の筋肉を作っているので、しっかりたんぱく質を食べないと、筋肉が維持できず、少なくなってしまいます。そのため、たんぱく質を欠かさないようにすることは特に意識していく必要があるのです(図3)。

図3 高齢者に必要な1日のたんぱく質量の目安

4.たんぱく質は1日3食、均等に食べましょう

 たんぱく質は、つまり主菜のおかずですが、皆さんの中には朝食には主菜を食べないけれど夕食にはしっかりと食べるというかたもいるかもしれません。図4は1日に食べるたんぱく質の量は同じでも、朝昼夕に均等に食べた群と、偏って食べた群で筋肉の合成率を比較した研究結果です。オレンジ色が均等に食べた群で、水色が偏って食べた群です。均等に食べた群の方が筋肉の合成率が高いことがわかります。つまり毎食たんぱく質を含む主菜を食べることが大切です。
繰り返しになりますが、1日に必要なたんぱく質の目安は、肉・魚・卵・大豆を毎食、手のひら1枚分を目安に食べましょう。

図4 国立長寿医療研究センター. 木下かほり. 健康長寿教室テキスト第 2 版. 2020,P.16 の図を転載

5.たんぱく質をしっかりととるためのひと工夫です

プラン① コーヒータイムには、コーヒーに牛乳や豆乳をプラス
プラン② ヨーグルトやプリンなど、間食でもたんぱく質の多いものを選ぶ
プラン③ 缶詰や冷凍食品など、「あと一品」に便利なものを常備しておく
プラン④ お弁当や外食は、おかずの種類が多い定食メニューを選んでいろいろな食品からたんぱく質を摂りましょう。

6.ビタミンDとカルシウムは不足しがち!

 ビタミンDとカルシウムが不足すると骨の強度が下がってしまいます。ビタミンDは骨だけでなく、筋肉を強くする役割を持っています。また、カルシウムは筋肉や神経などの働きが正しく行われるためにも利用されています。ビタミンDというと魚介類やきのこ類、牛乳、卵に含まれます。また、皮膚に日の光を当てることでつくられます。カルシウムは牛乳、乳製品、小魚、大豆製品、野菜類や海藻に含まれています。

7.さいごに

 健康に良い食事をとるため、栄養からできることを確認していきましょう。そして、健康長寿をめざしましょう!   食事内容を見直すにあたり疾患のある方や個別に健康の不安がある方については、主治医等にご相談ください。

筆者

医療法人社団昌栄会
相武台病院 栄養科
管理栄養士 春口佳美

患者様とどのように接しているか

私の勤務する病院に入院してくる患者の多くは低栄養状態です。少しでもこの状況を打破するために入院が必要になる前に地域の方々に栄養ケアサービスを提供したい!と考え、介護予防・自立支援にむけた地域の取り組みへの参加に一歩踏み出しました。読者のみなさん、ぜひ、地域活動に参加してください!そして、この夏、訪問栄養指導を始めています。私たち栄養士はもっともっと地域の役にたちたいと考えています。

卒業した学校

東京農業大学

好きな食べ物

桃、魚の南蛮漬け、中華丼