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フレイル予防のためにエネルギー・たんぱく質を摂ろう(森 加奈子)

低栄養の人はフレイルになりやすい

 低栄養の人はそうでない人よりフレイルになりやすい傾向にあります。エネルギーと筋肉の材料となるたんぱく質の摂取が少ないからです。
 エネルギーとたんぱく質が確保できなくなると体重が減ります。体力不足で体が思うように動かなくなると運動不足になり筋肉も衰え、全身状態が悪化します。これがフレイルです。フレイル状態になると、さらに食欲の低下、意欲の低下を引き起こし、結果的には要介護状態に近づいてしまうでしょう。 
 また、食事摂取量が減ると水分摂取量も減っていきますので、脱水など危険な状態を引き起こしかねません。低栄養の予防は健康寿命の延伸にも繋がり、フレイルを防ぎ転倒予防や介護予防にも重要なのです。

たんぱく質が多く含まれている食品を食べよう

 フレイルを予防するために、たんぱく質がたくさん含まれている食品を摂りましょう。

 たんぱく質はヒトの体を構成する重要な成分のひとつです。筋肉をはじめとする皮膚や髪、爪、臓器などを作るほか、ホルモン、代謝酵素、免疫物質などに変換されるなど、さまざまな働きをしています。また、エネルギー源としても使われます。筋肉を構成する材料のひとつであることから、たんぱく質をたくさん摂るように心がけましょう。

 加齢にともなう食事摂取量の減少で、70歳以上は男女ともにたんぱく質摂取量も少なくなっています。食べる量が減ったら、たんぱく質が多く含まれる食品を効率よく摂る工夫が必要です。

たんぱく質は毎食欠かさず、均等に摂ろう

 たんぱく質は毎食欠かさず、均等に摂りましょう。
不均一な摂りかたをしていると筋肉の合成能力が低下しやすく、とくに筋肉が衰えている高齢者はそれが顕著です。たんぱく質は体に貯蔵できないことも毎食補っていく必要がある理由です。
 1日トータルの必要量をきちんと摂っていたとしても、昼だけで、夕だけでなど、まとめて摂るようではダメです。1回の食事で、どんなにたんぱく質を摂っても筋肉合成力には限度があり、まとめて食べたからといって、その量に比例して筋肉が付くわけでありません。必要摂取量を3食で割りふってまんべんなく食べましょう。

3食で摂り切れないなら、間食で補いましょう

 食欲低下などでご飯が十分に食べきれず、必要たんぱく質量が摂れないときは、たんぱく質がたくさん入ったおやつを味方につけましょう。たんぱく質含有量の多いおやつを取り入れれば、なお効率よくたんぱく質が摂取できます。
 間食を摂るのは次の食事が始まる1時間前までに済ませておきましょう。肝心の食事時間に間食がまだお腹の中に残ってて、食べられなくなると本末転倒になりかねません。3食で摂り切れず、間食も量が多いなと感じるのなら、時間を気にせず1日かけてゆっくりと食べるのも良いですね。

 上記はたんぱく質が多いおやつを記載せています。おやつは「甘いもの」とは限りません。「ゆで卵」「チーズ」「サラダチキン」なども良質なたんぱく質が摂れます。ただし、「チーズ」「サラダチキン」は食塩が含まれています。塩分制限をしている人は表示成分を確認しましょう。「ゆで卵」にかける塩も見逃せないですね。

 間食を上手に取り入れてしっかりとたんぱく質を確保しましょう。

エネルギーをしっかり確保しよう

 エネルギーをしっかり確保しましょう。
いくらたんぱく質をしっかり摂ったところで、エネルギーが足りなければ、たんぱく質は優先的にエネルギーに変換されてしまい、筋肉などの体を構成する材料になりません。エネルギーの素になるのは炭水化物、脂質、そしてたんぱく質です。

 エネルギーを確保できる工夫をして、たんぱく質には体の構成にできるだけ専念してもらいましょう。

何歳からでも筋肉は付けられる

 筋肉の維持・向上には、食事からのエネルギーとたんぱく質摂取が重要というお話をしました。自分の足で歩き続けるためには骨や関節・軟骨だけではなく、それを支える筋肉がとても大切です。
 筋肉は嬉しいことに何歳からでも付けられるので、今さら運動をしても意味がない、高齢だからもう遅いなどと諦める必要はないのです。しかし、運動だけではエネルギーとたんぱく質が不足している状態だと、うまくパフォーマンスを発揮できず筋肉が付きません。栄養と運動が合わさって初めて筋肉が付いていきます。

 栄養と運動でしっかり筋肉を付けて、いつまでも若々しく歩き続けていたいですね。

患者様とどのように接しているか

利用者さまの声を第一に考えた指導を心がけています。

卒業した学校

辻学園栄養専門学校

好きな食べ物

チョコレート