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バランスのよい食事を意識して低栄養を防ぎましょう!(長谷川 民子)

 「バランスよく食べましょう」という言葉を聞かれる機会はありませんか?それが実際にはどういうことなのかをお話していきます。(図1)

図1 バランスの取れた食事例


適切なエネルギーを知る

 適切なエネルギーを摂ることで、痩せや低栄養を防ぐことができます。エネルギー源として特に重要なのが主食です。日本人は主食に多く含まれる炭水化物から60%程度のエネルギーを摂っています。ご飯、麺、パンなどの主食を毎食適量摂ることで、必要なエネルギーを補いましょう。1g当たり9kcalである脂質も少量でエネルギー補給が期待できます。揚げ料理が面倒であれば、炒める、オイル入りドレッシングを利用するなど簡単な工夫で、手軽に取り入れましょう。食欲がない時は、間食として食べやすい補食を食事と食事の間に取り入れてみることも一案です。次の食事に影響の出ない量を加減して摂るようにしましょう。ゼリー、プリン、小さめのパンなどは比較的摂りやすい食品です。

適切なたんぱく質量を摂る

 たんぱく質を摂ることは身体を維持する上でとても大事です。しかし、過剰摂取が長期間に与える影響についてはまだ、充分にわかっていません。現状では適量の摂取が勧められますので、朝食、昼食、夕食とそれぞれ適量を摂りましょう。食事ごとに一定量を摂ることで、筋肉に刺激が加わり筋肉合成が促されます。朝食の摂取たんぱく質量が少ないことが言われています。朝に卵、ヨーグルト、ツナ、サラダチキンなど摂りやすい食品を加えることで朝食の不足分を補いましょう。

野菜、芋、海藻、きのこ、果物類を摂る

 ビタミン、ミネラル、食物繊維など身体のリズムを整える栄養素の補給源として毎食摂ることが勧められます。野菜類の摂取量は1日350gを目安としましょう。野菜類は献立の彩り、ボリューム感を出すためにも重宝します。作るのが面倒だと感じる時も、ミニトマトを添える、千切り野菜を利用するなど手軽に取り入れましょう。

食塩量は適正量にする

 食塩の過剰摂取は、血圧の上昇や腎臓への悪影響などを引き起こします。生活習慣病予防において減塩は非常に大切です。食べ方や調理の工夫をすることで、自然に減塩ができます。

 1.食べ方の工夫

   ①汁物・丼物・麺類は多くても1日1回までにして汁は残すようにする

   ②漬け物・加工食品(ソーセージ、練り物など)の摂取頻度を減らす

   ③食べる量が多くなると食塩量も増えるので適量摂取を心がける

 2.調理の工夫

   ①味にメリハリをつける→1食中に1品は普通の味付けにして残りの料理は無塩または減塩にする               

   ②薄味でも美味しく食べられる料理法を選ぶ
     揚げる、炒める→油の風味を活かす
     蒸す→ホイルに包んで蒸し焼きにすると旨みが逃げない

   ③香りや風味を加える
     酸味:レモン ゆず すだち
     スパイス:カレー粉 唐辛子
     薬味:みょうが 山椒 しそ わさび しょうが
     油脂:ごま油 ラー油

 食欲低下が見られる高齢者については、極端な減塩は摂取量の低下を招いて低栄養を引き起こす可能性があります。その時は減塩を少し緩めて、食べることを優先することもあります。

 バランスよく食べる、そこには食事を美味しく楽しむということも含まれているのではないでしょうか。病態によっては食事に一定の制限が出ることがあります。その中でも、日本にある色々な食材、調理方法を使って日々の食事を楽しみ、低栄養を防ぐことをサポートしていきたいと考えています。

筆者

萌生会大道クリニック栄養課
大阪府栄養士会透析食研究会 会長
管理栄養士 長谷川 民子

患者様とどのように接しているか

 身近な存在と感じてもらえるような声掛け、雰囲気づくりを意識しています

卒業した学校

 武庫川女子大学 武庫川女子大学大学院

好きな食べ物

 うどん