おいしく食べて健康寿命の延伸 ~フレイル予防~(藤井 理恵薫)
健康で長生きしたい!誰もが望んでいることでしょう。寿命が延びて高齢化が進んでいる中で、いつまでも自分の口で食べて自分のことは自分で守れる努力が必要になってきます。
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることがなく生活ができる期間」と定義しています。平均寿命とは「生まれてから亡くなるまでの平均的な期間」を示し、健康寿命は自力で生活できる状態をさします。平均寿命(2023年)が男性81.09年、女性87.14年に延伸しました。一方健康寿命は、全国平均で74.11歳(男性:72.64歳、女性:75.58歳)となっています(2019年データ)。平均寿命と健康寿命の差は男性8.45年、女性11.56年の差があります。自分自身の力でなるべく長く健康的な楽しい生活ができるよう、健康寿命を延ばすことを考えてみましょう。
健康を保つためには食事と運動の両立が大切なことはご存じのとおりです。運動するにも食事が不十分だと逆効果になってしまいますので健康的な食事について見直してみましょう。
皆さんはフレイルについてご存じでしょうか?フレイルとは健康な状態と要介護状態の中間の段階の状態であり、予備能力低下により身体機能障害に陥りやすい状態のことの総称で、適切な介入により健常に戻りうる状態とされています。早期に適切な介入が必要ということです。フレイル予防のポイントは下記6つです。
フレイルは様々な要素がありますが、その中でオーラルフレイルや加齢に伴う味覚や臭覚の低下も大きな要因になっていることも意識しましょう。
フレイル予防の食事は?
低栄養は筋力低下を招く大きな要因です。毎日の食事を通して必要な栄養素をしっかり取ることで、筋肉や骨を強くすることができます。
①自身にとって必要な栄養量を理解して不足のないよう日々の食事を整えましょう。
あなたにとっての必要エネルギー量は?
→当てはめてみてください
あなたにとっての必要たんぱく質の量は?
②食事は「主食」「主菜」「副菜」「汁物」と、バランスの取れた献立を心がけましょう。
筋肉のもとになるたんぱく質(魚、肉、卵、大豆製品)に加え、骨を強くする牛乳や乳製品も積極的に食べると効果的です。ただし、たんぱく質を意識しすぎて炭水化物が不足する症例を見ますが炭水化物を減らしすぎるとたんぱく質が有効に利用できなくなります。バランスは大切!
バランスの良い食事をするために食品の組み合わせを意識しましょう。そこで「さあにぎやかにいただく」の言葉覚えてください。
「さあ、にぎやかにいただく」は、健康のために毎日食べたい食品群の頭文字をとった言葉です。東京都健康長寿医療センター研究所が開発した「食品摂取の多様性スコア(Dietary Variety Score:DVS)」に基づいて、ロコモチャレンジ!推進協議会が考案しました。それぞれ「さ(魚)あ(油)に(肉)ぎ(牛乳)や(野菜)か(海藻)に、い(芋)た(卵)だ(大豆)く(果物)」を指します。からだの機能の維持や筋肉・体力の維持には、10の食材のうち、最低でも1日4点以上、できれば7点以上を目指しましょう。
③主食のみの一品料理にならないように工夫しましょう(外食や中食の工夫例)
食べる量が減ってきたり食べにくくなったときは、少量で栄養価の高い食品を選んだり、栄養補助食品も積極的に利用しましょう。油脂類の利用は効率よくエネルギーアップできます。MCTなどの積極的利用は有効です。たんぱく質や油脂類の『ちょい足し』を意識しましょう。
オーラルフレイルの予防
食べることに関連して「口腔機能」「嚥下機能」を維持することも重要です。「歯が減ってしまってうまく噛めない」「飲み込みづらい」という状態を放置すると、食べ物を正しく噛んで飲み込めなくなるリスクがあります。食事のときはよく噛むことを意識し、何か異変を感じたら早めに受診しましょう。適切なケアで、口腔・嚥下機能を維持することが大切です。しっかりおいしく食べて健康的に楽しい生活を維持しましょう。
筆者
患者さまとどのように接しているか
傾聴と寄り添う気持ち、相手へのリスペクトを忘れないようにしています。
卒業した学校
女子栄養大学
好きな食べ物
チーズとチョコレート