隠れサルコペニア肥満に要注意!(一色 恵)
私は、まつもと薬局本店 認定栄養ケア・ステーションで、当薬局で運営している機能訓練特化型デイサービスで栄養アセスメントを行い、通所されている皆さんの体重測定や、食生活のアドバイスをしています。理学療法士が定期的な体力テストや握力測定を行い、管理栄養士が栄養や口腔のチェックを行い、サルコペニアやフレイル予防に努めています。
最近、気になるのは隠れサルコペニア肥満の方が多いこと。
隠れサルコペニア肥満とは、「体重や体形の変化がないのに、筋肉だった部分が脂肪に置き換わっている状態」です。生活習慣病の進行や、歩行力低下、運動機能の低下などが起こり、寝たきりになる可能性も一気に高くなります。太っているからサルコペニアとは関係ない!と思ってしまうのは危険です。
予防するためには、食事と運動のバランスが大切です。どちらかに偏ってしまっても筋肉はきちんとつきません。定期的に自分の身体をチェックして、隠れサルコペニア肥満のチェックもしていきましょう。
〇隠れサルコペニアチェック
①体重を測定してBMI(体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m))が25以上の場合や、体脂肪率32%以上の場合は
肥満の状態で注意が必要です。
②筋肉量をチェック
筋肉量を測定できる体重計で筋肉量があるか確かめましょう。
また、簡易的には「指輪っかテスト」も有効です。
※骨格筋量指数5.67㎏/m2以下の場合は注意が必要です。
③握力測定
男性28㎏ 女性18㎏未満の場合、サルコペニアの危険性があります。
握力の低下は体力の低下とも関係していると言われ、握る、持つといった動作に支障がでると日常の生活にも支障が出やすくなります。
〇隠れサルコペニア肥満を予防するために・・・
「食事」
●脂肪が多い傾向にあるので、エネルギーは控えめにしましょう。
食べないのではなく、適量の炭水化物(ごはん、パン、めん)をとりましょう。
●良質なたんぱく質と十分な野菜、乳製品をとりましょう。
年齢と共に、たんぱく質の摂取量は減る傾向にあります。筋肉の素になる、肉、魚、卵など動物性のたんぱく質を意識して、毎食取り入れましょう。
●野菜には、ビタミンが豊富に含まれており筋肉やエネルギーを作るためのサポート役として必要です。
●間食をとる場合には、脂肪になりやすい甘いお菓子やスナック菓子ではなく、牛乳や乳製品などカルシウムを含むものを食べましょう。
「運動」※理学療法士が紹介する運動のススメ
最後に
いつまでも、元気に生活するためには、運動、食事、そして口腔ケア、社会参加などを一つのサイクルにしてくるくると回していることが大切です。どれかに偏ってもいい効果は発揮できません。皆さんの地域にも、包括支援センターや認定栄養ケア・ステーションなど相談できる場所があります。運動ができる場所や、集える場所もあります。
運動のプロの理学療法士、栄養のプロの管理栄養士、口腔のプロの歯科衛生士や言語聴覚士など知識豊富な専門職がいます。ちょっと足を運んでみてください!今までよりもっと元気になるヒントが、たくさん見つかると思います。
筆者
患者様とどのように接しているか
人生の先輩である方々に、常に教えていただいている気持ちを忘れないようにしています。
卒業した学校
北里大学附属北里保健衛生学院
好きな食べ物
桃