mealtime

しっかり食べて動いて、フレイルを予防しよう(三宅 利恵)

フレイルとは
 最近、食欲がなくなった、疲れやすくなった、外出するのが面倒になったなんてことはありませんか?身体のさまざま機能の低下、心や社会性(社会参加)の活力の低下した状態のことをフレイルといいます。フレイルは、健康で元気に過ごせる状態から介護が必要な状態へ移る途中の段階に該当します。

フレイルは改善できないの?
 フレイルは、食事や運動などで適切に対応することで、予防または改善することができます。次の4点がフレイル予防につながります。

①食事をしっかり食べて栄養を摂る

②歯と口の機能を保つ
 噛む、飲み込む力が低下すると、食べる量が減ってしまいます。日頃から歯とお口のケアを行い、食べられる機能を保つことが大切です

③筋肉を維持するために運動を行う
 自分にあった無理のない適度な運動を習慣的に行うことで、筋肉が維持され転倒や骨折のリスクが軽減できます

④積極的に人との交流を図る
 趣味やボランティアなどの社会参加や、友人と楽しく会話をしたり食事を摂ることで、社会とのつながりを持ち心の栄養を取り入れましょう

生活習慣病からのシフトチェンジ
 40~50代では生活習慣病予防のため、エネルギー・たんぱく質は控え、肥満を防ぐように言われてきたと思います。しかし、60代頃より、何もしていないと自然と筋肉量が低下していきます。そこに食べる量が減ってエネルギー・たんぱく質が不足すると、身体を維持するために筋肉の分解が進みます。また、たんぱく質を合成する力も低下するため、さらに筋力が低下します。それにより、身体機能が低下し、活動量が低下します。すると、食欲がなくなりエネルギー・たんぱく質がさらに不足するといった悪循環がおこります。そのため、60代頃よりフレイル予防、低栄養予防のため、エネルギー・たんぱく質をしっかり摂るようにシフトチェンジすることが必要となります。

フレイル予防のための食事
①3食きちんと食べましょう
 食事を抜いてしまうと他の2食だけで充足することは難しく、1日に必要な栄養を摂ることができなくなります。朝食べなかった分、昼食を2人前食べるなんてできないですよね。そのため、朝・昼・夕と食事は抜かずに食べる必要があります。

②バランスよく食べましょう
 食べ物は食品によって含まれる栄養素が異なります。毎食ごはん・パン・麺などの主食と肉・魚・玉子・豆腐などを使ったメインとなるおかず、野菜や果物などの小さいおかずというように組み合わせることで、いろいろな栄養素が摂れます。
おにぎりだけ、サラダだけなどの単品や、ラーメンとライスなど主食だけの組み合わせは、いろいろな栄養素が摂れずに偏りが生じます。

図1 バランスのよい食事1)

③たんぱく質を毎食、必ず食べましょう  
 フレイル予防・改善の一番のポイントとして、たんぱく質を意識的に食べることが大切です。たんぱく質は肉・魚・玉子・大豆製品・牛乳・乳製品などに多く含まれています。
 たんぱく質は体の筋肉や血管、皮膚などを造っています。なかでも、筋肉は合成と分解を常に繰り返すことで筋肉が維持されています。また、たんぱく質は一度に合成できる量が決まっているため、一度に大量に食べても使われないたんぱく質がでてしまいます。使われないたんぱく質は貯めておくことができないため、合成の材料となるたんぱく質を毎食ごとに食べる必要があります。

簡単調理のコツ
 食事は大切といっても、毎食のこととなると大変な時もあります。そんな時は
缶詰や冷凍食品、下処理済野菜を利用してみましょう。時間をかけずにお料理が作れます。また、宅配食やレトルト食品を利用するのも便利です。自分にあった方法で食事を用意しましょう。

フレイル予防のため、しっかり食事を食べて、適度な運動を行い、積極的に人との交流を図ることで、健康で楽しい生活を送りましょう。

参考文献 
1)出展 農林水産省ウエブサイト
  https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/evidence/togo/html/part4-3.html

筆者

医療法人長谷川会 
湘南ホスピタル 管理栄養士
三宅 利恵

 患者様とどのように接しているか

 理解しやすいような言葉を選んで接しています

 卒業した学校

 東京農業大学

 好きな食べ物

 チーズ、パン