貯めながら使うフェーズを先延ばし今からできる「貯筋」生活(内藤 有紀子)
巷では老後資金の話題よく聞きますね。若いうちからの蓄えが必要、と言われますが、皆さん「ちょきん」していますか?今回の「ちょきん」はお金ではなく身体の「貯筋」のお話です!
早速ですが、筋肉をつけるのはどうしたらいいでしょうか?ジムに行って鍛える?!プロテインを飲む?!・・・・どちらも間違いではないですが、、お金がかかりますね。その前に普段の生活や食事を工夫してできることから取組みましょう!
筋肉はエネルギーを作る工場
筋肉は、私たちの体を動かすために骨を支えスムーズに動くよう重要な働きをしています。また、糖質や脂質を分解して熱を作り出す基礎代謝も行っています。筋肉量が多い方が糖質や脂質を燃焼させる量が多くなります。では、筋肉をつける・増やすにはどうしたらいいでしょうか?まずは材料となるたんぱく質をしっかりと摂ること、そして動かす、運動によって負荷をかけていくことです。筋トレは無酸素運動で、エネルギー源は糖質です。筋肉に蓄えられているグリコーゲンや血液中にあるブドウ糖が使われます。筋量UPに効果があります。ウォーキングなどは有酸素運動でエネルギー源は体内の糖質(グリコーゲン)と脂肪で、酸素を使って分解しエネルギーにします。筋肉への負荷は少な目ですが、エネルギー消費ができ肥満改善に有効です。いずれも筋肉に負荷をかけ筋量UPや脂肪燃焼をするので、消費するエネルギーを増します。
筋肉のもとになるたんぱく質を摂る
私たちの体はたんぱく質で構成されています。朝食をとらないまたはパンとコーヒーで済ませるなど、朝食時のたんぱく質不足が言われています。たんぱく質は摂り貯めができません。日本人の食事摂取基準(2025)では65歳以上のたんぱく質摂取推奨量は男性で60g/日女性で50g/日となっており、1食あたりでは20gほどとなります。
筋肉のエネルギーBCAA
BCAAとはたんぱく質を構成するアミノ酸で、バリン、ロイシン、イソロイシンのことで筋肉のエネルギー源となる必須アミノ酸です。BCAAは筋肉中のアミノ酸の約40%を占めており、このアミノ酸をしっかりととると運動中の筋肉の分解抑制や筋肉のたんぱく質を作り出す量が増えるといわれています。結局サプリメントやプロテイン?!と思われたかもしれませんが、日頃の食事でもしっかり摂ることができます。BCAAはたんぱく質を多く含む食品に含まれ、特に魚(かつお、まぐろなど)肉類(鶏肉、牛肉など)、乳製品に多く含まれます。これらの食品に限らず、たんぱく質は毎食摂るよう心掛けましょう(図1)。

意外な落とし穴 エネルギー不足
体重が気になるから主食を食べない、筋肉つけたいし朝はプロテインを飲むだけ、という方を見かけます。意外かもしれませんがダイエットにも貯筋にも過度な糖質制限は大きな損失になります。なぜかというと、エネルギーが不足することで体が省エネモードになってしまい消費量が少なくなります。また、足りないエネルギーを筋肉の分解によって作り出すため、結果、筋肉が減ってしまうのです。ダイエットしたい方もトレーニングに励んでいる方も糖質は適量を摂らないと、その努力が無意味になってしまいますよ!!
では「貯筋」のためにはどのような食事をしたらよいでしょうか?
食事の基本 P(たんぱく質)・F(脂肪)・C(炭水化物)バランス
糖質を控えすぎてエネルギー不足になるとたんぱく質が使われることは前述の通りです。食事に置き換えると主食(炭水化物)・主菜(たんぱく質・脂質)副菜(ビタミンやミネラル、食物繊維)となります。副菜はPFCの吸収や働きを助けるため一緒に摂る必要があります。ご飯(主食)主菜(肉や魚、大豆製品、卵など)、煮物やお浸し、サラダなど(副菜)をそろえるとおのずとバランスがとれてきます。
毎食完ぺきでなくてもOK
毎食きちんと整えられればそれはよいことですが、もしもできなくてもその前後に調整するという気持ちで取組みましょう。要は意識し続けていくことが大切です。それに伴って体は少しずつ変わっていきます。
筋肉はいくつになっても蓄え可能です。私たちの体は食べたものから作られています。未来のために貯金しなきゃと思う今、楽しく美味しく食事を楽しみながら「貯筋」生活も始めませんか?
筆者

青葉さわい病院 栄養科
管理栄養士 内藤 有紀子
患者様とどのように接しているか
笑顔で寄り添うような声掛け
卒業した学校
神奈川県立栄養短期大学
好きな食べ物
ナッツ類、果物