サルコペニアは知っていますか?(中司 安里)
サルコペニアとは?
私は、病院の栄養士として患者さんと接する機会が多いですが、今、注目されている゛サルコペニア゛を知っている方は少ないです。しかし、足が細くなっているから筋肉量が少なくなっていると思う、最近疲れやすく、歩きづらいと訴える方は多いです。
サルコペニア(筋肉減弱症)とは、加齢に伴う筋肉量が減少し、筋力・身体機能が低下している状態です。一般にヒトの筋肉量は40歳から減少が始まり、年に1~2%ずつ減少し、70歳までには、20歳代と比較するすると30%~40%減少すると言われています。原因は、加齢、活動不足、疾患、栄養不足によって起こります。サルコペニアが進むと転倒や骨折のリスクが高くなり、要介護状態になると報告されています。
わたし、サルコペニアかも??
サルコペニアは日常生活の動作から早期発見することができます。その方法の一つにSARC-F質問票があります。この質問票は5つの項目(ものを持つ力・歩行・椅子から立ち上がる・階段を昇る・転倒)からできており、それぞれの質問文に対して、3つの回答から1つ選択します。選んだ回答は0点から2点まで得点が付与され、合計点を出します。合計点が4点以上の場合は、サルコペニアの可能性が高いため注意が必要です。
では、実際に回答してみましょう。
あなたは何点でしたか?
今日からできるサルコペニア対策の栄養管理ポイント
①体重減少に注意
ダイエットをしていないのに体重が減ってきたら、サルコペニアの可能性があります。自宅では、定期的に体重を測定しましょう。
②しっかりかめる お口をつくる
食事をするためにはお口のケアも大切です。毎日、正しく歯磨きをしましょう。かむ力を維持するには、少し噛み応えのあるものを用意し、毎食食べましょう。
③1日3回、3つのお皿をそろえて食べる
若いときであれば、1食抜いたとしても、残りの2食で必要な量をカバーできるくらい食べることができます。しかし、だんだん歳をとるにつれて食が細くなり、1食でも欠食する習慣があれば1日の必要な量をカバーしきれない人がほとんどです。朝食、昼食、夕食の3回食事をするよう心掛けましょう。そして、バランスよく食べるためには、3つのお皿をそろえましょう。
まず、一皿目はごはんやパン、麺類などの主食で毎日の生活のエネルギーの元になる炭水化物の供給源になります。二皿目は魚や肉、卵、豆腐、大豆などを使用した主菜です。血液や筋肉を作り、体力や免疫力の維持にも役立つたんぱく質の供給源です。たんぱく質は20種類のアミノ酸からできており、特に必須アミノ酸である「ロイシン」には筋肉をつくる働きがあります。特に、サルコペニアの予防には、1日に適正体重1kgあたり1.0g以上のたんぱく質の摂取が推奨されています。三皿目は野菜や海藻、きのこなどを使った副菜です。からだの調子を整えるビタミンやミネラル、食物繊維などの供給源になります。更にもう一品汁物や果物、乳製品を追加できればバランスは100点満点です。
最後に
今日、食べたごはんのバランスはどうでしたか?主食・主菜・副菜はそろっていましたか?
食生活を見直し、人生100年時代!食べるを楽しみましょう♪
参考文献、参考イラスト
(1)サルコペニア診療実践ガイド
(2)サルコペニア診療ガイドライン
(3)Kurita N, Wakita T, Kamitani T, Wada O, Mizuno K.SARC-F Validation and SARC-F+EBM Derivation in Musculoskeletal Disease: The SPSS-OK Study The Journal of Nutrition, Health & Aging 2019; 23: 732-738.
(4)公益社団法人兵庫県栄養士会作成ランチョンマット
(5)八訂食品成分表
(6)食品画像のそざい屋さん
筆者
患者様とどのように接しているか
笑顔で寄り添うよう心がけています
卒業した学校
神戸学院大学栄養学部栄養学科
好きな食べ物
チョコレートとビール