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オーラルフレイルとは?口腔機能に合わせた食事(尾関 麻衣子)

オーラルフレイルとは

 オーラルフレイル1)とは、『健口(口の機能が健常な状態)』と『口の機能低下』との間にある状態です。硬いものが噛みにくくなった、ごはんを食べこぼすようになった、滑舌が悪くなった、などのお口の些細な衰えを自覚したら、それはオーラルフレイルかもしれません。

図1 オーラルフレイル概念図(文献1より引用) 

オーラルフレイルかどうかは、表1の『OF-5:Oral Frailty 5-item Checklist』でチェックすることができます。OF-5は、5つの項目の質問に回答し、2つ以上該当する場合はオーラルフレイルとなります。

表1 オーラルフレイルのチェック項目(Oral frailty 5-item Checklist:OF-5)

口腔機能に合わせた食事

 何でもよく噛んで食べられる“健口”な人もいれば、固いものが噛みにくくなった“オーラルフレイル”の人、さらに口腔機能が低下して食べることが負担になってしまった人もいるでしょう。
 そこで、口腔機能に合わせた食事の一例を紹介します。

①口腔機能の低下がないタイプ(健口)

よく噛めるという機能を維持するために、あえてよく噛むことが必要な食材や料理を取り入れます。
◆肉、生野菜、豆類、ナッツ類、イカ、タコなど噛み応えのあるものを取り入れる

②歯に問題があるタイプ(歯がない、義歯が合わない等)

固いものや噛みきりづらいものを、調理の工夫や食材の選択によって食べやすくします。
◆よく煮込む
◆野菜の繊維を断ち切るように切る、肉の筋を切る、皮をむく

③舌の巧みさ・器用さが低下したタイプ

滑舌が悪くなったり、食べこぼしが多くなったりすると、ごはん粒のようなパラパラしたものや、いもやパンなどのパサパサしたものが食べづらくなります。
◆パラパラ → あんかけにする、とろみのある食材(生卵、とろろ、カレーなど)を取り入れる
◆パサパサ → バターやマヨネーズなどの油脂類で和えてしっとりさせる

④舌やあごのパワーが低下したタイプ

全身の筋力が低下すると、噛みしめる力や、舌と上あごで食材を押しつぶす力も低下します。
◆スプーンの背で簡単につぶせるくらい煮込む
◆噛むのに負担の少ない食材・料理を取り入れる

 口腔機能に合わせた食事の準備は、手間がかかることもあり、難しく感じる方もいるでしょう。そのような場合は、市販の介護食品や、噛みやすさに配慮した宅配弁当などを活用してみることをお勧めします。
 自分のお口の機能を知り、食事に目を向け、健口と健康を目指しましょう!

参考文献  1)オーラルフレイルに関する 3 学会合同ステートメント:
       https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsg/38/supplement/38_86/_pdf/-char/ja
イラスト  いらすとや:https://www.irasutoya.com/

筆者

日本歯科大学
口腔リハビリテーション多摩クリニック
摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士
 尾関 麻衣子

患者さまとどのように接しているか

安心感を持っていただけるように心がけています。

卒業した学校

神奈川県立保健福祉大学

好きな食べ物

ブラックコーヒー