リハビリテーション栄養とセルフマネジメント(二井 麻里亜)
リハビリテーション栄養とは
本来は病院や施設などで、リハビリテーション(リハ)と栄養管理の双方の視点から、適切な評価、診断、ゴール設定などを行い、機能(体と心)、活動(日常生活活動や運動など)、参加(社会や家庭での役割)、QOL(生活の質)を最大限に高めるためのプロセスです。
今回は、加齢による衰えを感じていたり、今後の健康が心配な人が、適切な運動、社会活動、栄養摂取などによって、より健康で、いきいきと過ごすためにリハ栄養の考え方をご紹介したいと思います。ご家族の健康状態が心配な方もこの考え方を活かしていただければと思います。
家庭などでも行えるリハ栄養の評価として、簡易のサルコペニアやフレイルの診断、簡易栄養状態評価などがありますので、まずは自身の状態を自己診断してみましょう。サルコペニアや栄養状態については他の先生方の記事でも紹介されていますので、今回は将来のフレイルを予防するための基本チェックリストを紹介します。
正式には、下記に記載している評価方法に該当すると次の検査に移る仕組みになっています。
今回は、予防のための確認で紹介しています。もし該当する項目があれば、改善に取り組む、場合によっては医療機関などに相談していただければと思います。
セルフマネジメントのすすめ
セルフマネジメントは自身の管理を自分で行う自己管理の事です。今回は、自分自身またはご家族の健康管理としてセルフリハ栄養を考えてみたいと思います。セルフマネジメントの初めの一歩は、自身の状態を知る。目標を決める。取り組む内容を決めて取り組む。これらの繰り返しです。
例えば、「最近痩せたような気がするし、筋力や体力も落ちてきたような気がする場合は、適正体重の維持や筋力、体力の改善を目標に、いつもより食事に気を使う、体重を定期的に測る、出かける頻度を増やす、無理のない範囲でスクワットをする。」などはいかがでしょうか。
リハ栄養の家庭での実践
リハ栄養は、わかりやすく言うと「しっかり食べて、しっかり活動し、健康を維持する」ことだと考えます。ここでは主に食事内容についてお話します。
今回は4つのチェックポイントをご提案したいと思います。
①いろんな食材を組み合わせて食べるには、学校の授業でも教えられている五大栄養素の表を参考にするとよいでしょう(図1)。
②同じものばかりを食べない工夫は、買い物に行くときに旬のものを購入したり、前回と同じ食材はできるだけ買わないようにする、などの工夫をするだけでも十分効果的です。
③量が少なすぎたり、多すぎたりしないかの確認は、体重の変化を確認するようにします。体重が継続的に減ってくれば「少なすぎ」、増えてくるなら「多すぎ」です。体重が増えてくる場合は、運動不足の場合もありますので、その場合は一日の活動を見直すことも必要です。
④たんぱく質の量は一日に成人女性は50g程度、成人男性は60~65g程度が「日本人の食事摂取基準(2022年版)」では推奨されています。サルコペニアや低栄養を改善したい場合は1~2割増やして摂取するとよいでしょう。たんぱく質60gを3食に分けると1食当り20g程度になります。毎食20g程度のたんぱく質を摂取するようにしましょう。
食習慣や日常生活での活動に気を付けて、いつまでもいきいきと過ごしていただけるように、ぜひ一つでも実践できることがあれば、行ってみてください。
最後に
リハ栄養学会が一般向けに発行しているガイドラインをご紹介します。「脳血管疾患」「急性疾患」「骨折」「がん」の4項目のリハ栄養について記載されていますので、参考にしていただければと思います。
リハ栄養ガイドライン2020(一般向け)
筆者
患者様とどのように接しているか
相手の価値観に合わせて接するようにしています。
卒業した学校
大手前栄養文化学院専門学校
国立学校法人大阪教育大学大学院
好きな食べ物
グラタン