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口から食べる楽しみをあきらめないための工夫(武藤 裕子)

摂食嚥下障害と誤嚥とは

加齢や病気により、「食べ物を飲み込みにくい」「ムセやすい」といった症状が現れることがあります。こうした状態を摂食嚥下障害といいます。この障害が進むと、食べ物が誤って気管に入り込む「誤嚥」が起こりやすくなります。通常はムセることで異物を排出できますが、反射が弱くなると吐き出せず、肺に入ってしまうことがあります。

高齢者と誤嚥性肺炎

誤嚥によって食べ物や唾液が肺に入ると、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。とくに高齢者では、飲み込む力や免疫力が低下しており、肺炎が重症化しやすくなります。
近年、高齢化の影響で肺炎により亡くなる方が増加しており、その多くは65歳以上の高齢者です。2023年の人口動態統計では、死因の第4位であり、高齢者の肺炎のほとんどは、加齢に伴う嚥下機能低下を背景とした誤嚥性肺炎であると考えられています。
肺炎は命に係わることもあるため、日頃からの予防が大切です。

摂食嚥下障害の予防

活動量の低下は、筋力や体力の低下、疲労感、食欲低下を招きます。栄養が不足すると嚥下筋も衰え、摂食嚥下障害が進行しやすくなります。さらに食事摂取量が減ると、低栄養と筋力低下が進み、活動量がさらに落ちるという負のスパイラルに陥ります。これを防ぐには、日々の身体活動と適切な栄養摂取が重要です。

みなさんは、負のスパイラルに陥っていませんか?

摂食嚥下障害や低栄養のリスクは、日常生活の変化や身体のサインからも確認できます。
以下のチェック項目にあてはまるものがないか、確認してみましょう。

<生活チェック>
□ 最近やせてきた
□ よく転びそうになる
□ 食欲がない
□ 疲れやすくなった
□ 元気が出ない
□ 外出することが減った

<ふくらはぎチェック>
① 両手の親指と人差し指で輪を作ります
② その輪をふくらはぎの一番太い部分に当てます

足が輪っかよりも細くなっていませんか?それは栄養不足(低栄養)のサインかもしれません。
上記のチェックで1つでも当てはまる項目があれば、注意が必要です。早めの気づきと対策が、予防につながります。

<自宅でできる体操>

嚥下体操:顔や首の筋肉の緊張を解くことで嚥下をスムーズにします
注意:痛みや疲れのない程度に行いましょう

首を3回ずつ左右にまわします

肩方の上げ下げを5回ずつ行います

舌を上下左右に3回ずつ動かします

食事と栄養の大切さ

年齢を重ねると、やせてきたり、食が細くなったりする方が増えてきます。そうした状態が続くと、体に必要な栄養が足りなくなり、体力や免疫力が落ち、病気にかかりやすくなることがあります。
とくに気をつけたいのが、エネルギー(カロリー)とたんぱく質の不足です。これらをしっかりとることが、健康を守る第一歩になります。

食事の工夫で、健康を守りましょう

■食事は1日3回、主食・主菜・副菜をそろえてバランスよく。高齢の方は、ご飯をしっかり食べていても肉・魚・卵・大豆製品・牛乳などのたんぱく質が不足しがちです。筋肉維持のためにも必要なたんぱく質は毎食、食べるようにしましょう。

■飲み込みにくさがある方は、食材を細かく刻むだけでは、口の中でばらけてしまい、ムセや誤嚥の原因になることがあります。柔らかく、まとまりやすく、のどごしのよい調理の工夫が大切です。調理例として、ひき肉に豆腐や山芋などを混ぜて、柔らかくまとまりやすい肉団子にすると食べやすいです。また、野菜は、葉物類の葉先を使用し柔らかく煮て白和えにすることも食べやすくする工夫です。

■少食の方は、小分けにして回数を分けて食べたり、マヨネーズや生クリームなどのカロリーが高い食品や栄養補助食品を取り入れることで、効率よく栄養を補うことができます。

毎日の暮らしが予防につながります

栄養が不足し、体力が落ちていく「負のスパイラル」に入らないようにするには、食事だけでなく、体を動かすことや趣味を楽しむことも大切です。
ご家族と一緒に楽しく食事をする時間も、心と体の元気につながります。

  • 引用:竹田綜合病院NST委員会「口から食べる楽しみをあきらめないために」小冊子より
  • 参考:Nutrition Care 2025 vol.18 no.6 p26-29
  •     ニュートリー株式会社ホームページ「嚥下障害の基礎知識」
一般財団法人竹田健康財団
竹田綜合病院
 栄養科
栄養ステーション
管理栄養士 武藤 裕子 

患者様とどのように接しているか

患者・家族に寄り添った関わり方をしています

卒業した学校

鎌倉女子大学

好きな食べ物

果物