サルコペニアを予防する食事とは?(和田 萌希)
年齢を重ねると、筋肉量や筋力が低下していくのは自然なことです。しかし、これが進行すると「サルコペニア」と呼ばれる状態に陥り、転倒や要介護のリスクが高まります。サルコペニアは加齢にともなって起こるだけでなく、栄養不足や運動不足も大きな原因です。今回は、サルコペニアを予防・対策するための栄養のポイントについてご紹介します。
〇たんぱく質をしっかりとる!
筋肉の材料となるたんぱく質は、サルコペニア予防の基本です。高齢になると、若い頃よりもたんぱく質の利用効率が下がるため、意識的に摂取する必要があります。1日の目安は体重1kgあたり1.0〜1.2g程度(例:体重60kgなら60〜72g)とされています。ちなみに、卵1個で約50~60gぐらいです。分かりづらい場合は、1食でご自身の片手に乗るくらいのたんぱく質を摂取しましょう。

おすすめの食品 : ・肉、魚、卵
・大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)
・乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
1日3食に分けて、毎食にたんぱく質を取り入れることがポイントです。
〇ビタミンDやカルシウムも重要!
ビタミンDは筋肉の機能維持や骨の健康に関わる栄養素です。不足すると筋力低下や転倒リスクが高まります。ビタミンDは日光に当たることで体内でも合成されますが、食品からの摂取も意識しましょう。


ビタミンDを多く含む食品 : ・鮭、サバ、いわしなどの脂ののった魚
・きのこ類(特に干ししいたけ)

カルシウムは骨を丈夫に保つために欠かせません。乳製品、小魚、小松菜などからバランスよく取りましょう。
〇エネルギー不足にも注意!
高齢になると食が細くなり、必要な栄養素がとれない「低栄養状態」になりがちです。たんぱく質だけでなく、炭水化物や脂質などエネルギー源もしっかりとることが、筋肉を維持するうえで重要です。


補助食品を上手に活用:食事量が少ない方は、間食にプリンや牛乳、プロテイン飲料など比較的たんぱく質が多く食べやすいものを取り入れるのもおすすめです。
〇運動と組み合わせて効果アップ!

栄養だけでなく、筋肉を使うことも大切です。ウォーキングや軽い筋トレなど、無理のない範囲で継続することで、栄養の効果も高まります。食事と運動をセットで考えることが、サルコペニア対策には効果的です。
まとめ
サルコペニアは早めの対策が何より大切です。日々の食事の中で、たんぱく質を中心とした栄養バランスを意識し、適度な運動を心がけましょう。将来にわたって自分らしく元気に過ごすために、今日からできることを少しずつ取り入れていきましょう。
※腎機能障害がある方はたんぱく質制限などがあるため、医師及び管理栄養士の指示に従ってください。
筆者

和田 萌希
患者様とどのように接しているか
良い所は沢山褒め、患者さんの気持ちに寄り添う。
卒業した学校
京都女子大学大学院 家政学研究科 食物栄養学専攻
好きな食べ物
まぐろの赤身のお寿司













