フレイル予防の鍵は『血管の健康』にあり!全身をしなやかに保つ生活習慣(辻 秀美)
はじめに
年齢を重ねるごとに「最近疲れやすくなった」「歩くスピードが落ちた」と感じることはありませんか。こうした心身の衰えは「フレイル(虚弱)」と呼ばれ、放置すると要介護状態につながるリスクがあります。「まだ先のこと」と思いがちですが、フレイル対策は気づいたその日から始めることが大切です。
そして、このフレイル予防の土台となるのが「血管の健康」です。一見、筋肉の衰えと血管は無関係に思えるかもしれません。しかし、全身に張り巡らされた血管は、筋肉や脳へ酸素と栄養を届ける命のライフラインです。血管が硬くなる「動脈硬化」が進むと、血流が滞って筋肉に必要な栄養が行き渡らなくなり、筋力低下や活動量の減少といったフレイルの悪循環を引き起こしてしまいます。つまり、血管を若々しくしなやかに保つことこそが、全身の元気を維持する最大の秘訣なのです。
では、血管をすこやかに保ち、フレイルを予防するためにはどのような食生活を心がければよいのでしょうか。その確かな根拠となるのが、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」です。ガイドラインでは、血管を守るための理想的な食事として、減塩をベースにした日本食パターン「The Japan Diet(ザ・ジャパン・ダイエット)」を推奨しています。
フレイル予防と血管ケアを両立させるために、毎日の食卓で意識したい具体的な栄養の摂り方は以下の3つです。
①「質の高いたんぱく質」を魚や大豆から摂りましょう
筋肉の維持にはたんぱく質が欠かせませんが、肉の脂身や動物脂、加工肉の摂りすぎは悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化を悪化させます。ガイドラインでは、肉類の脂身を控え、代わりに「魚」や「大豆・大豆製品」の摂取を増やすことを強く推奨しています。特にサバやイワシなどの青魚に含まれる「n-3系多価不飽和脂肪酸(EPA・DHA)」は、血管の炎症を抑えて血液をサラサラにする効果が期待できます。
具体的には、鯖の缶詰めは、EPAやDHAの質は、変わらずに取れます。簡単に摂取できるものから始めましょう。

②「食物繊維」が豊富な食材をたっぷり食べましょう
最新のガイドラインでは、食物繊維の積極的な摂取が重視されています。玄米や麦ごはんなどの未精製穀類、緑黄色野菜、海藻、きのこ類を毎食のメニューに加えましょう。食物繊維はコレステロールの吸収を抑えるだけでなく、腸内環境を整えて栄養の吸収力を高めるため、食事量が減りがちなシニア世代の栄養不良を防ぐのにも役立ちます。
③「徹底した減塩と糖質の適量化」へ
高血圧は血管に強い負担をかけ、動脈硬化を最速で進行させます。ガイドラインでは食塩摂取量を「1日6g未満」と定めています。出汁(だし)やレモンなどの酸味を活かして薄味に慣れていきましょう。また、果糖を含むジュースやお菓子の大量摂取も血管を傷つける原因になります。楽しむ程度に留めるのが賢明です。
健康な体づくりは、毎日の食事の「主食・主菜・副菜」を揃える小さな工夫から始まります。ご本人はもちろん、ご家族でお互いの食事内容を優しくチェックし合うことも、持続可能な予防活動につながります。
「もう歳だから」と諦める必要はありません。今日選ぶ食材が、明日のみずみずしい血管を作り、あなたの体を力強く支えます。まずは今日の食事に、お豆腐一丁、あるいは具だくさんの野菜スープをプラスすることから始めてみませんか。
筆者

患者様とどのように接しているか
患者さんの生き方に対して敬意をもって接しています
卒業した学校
甲子園大学
好きな食べ物
栗













