三寒四温中はフレイル予防を忘れがち! 免疫力を高める食事と運動を心がけましょう!!(田中 弥生)
三寒四温中のフレイル予防
春はもうそこまで来ていますが、まだまだ寒い時期が続きます。三寒四温の時期にはインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの感染症が流行し、高齢者や糖尿病、COPDなど基礎疾患のある方が重症化しやすいことはTVやマスコミなどで頻繁に解説されています。
うがい、丁寧な手洗いやうがいはもとより、高齢者になると感染症が心配なあまり、自宅に引きこもりがちになります。そのため座っている時間も長くなり運動量は低下します。買い物にも出向かないので、食事も簡単に済ませてしまうことも増えていき食事摂取量も低下します。
このような「動かない状態」は心身が衰える「フレイル」が進むことが心配されています。フレイルとは身体や心の衰えや、社会とのつながりや支援が失われていく状態のことを指します。多くの人が健康な状態からこのフレイルの段階を経て、介護が必要な状態に陥ると考えられています。体の回復力や抵抗力が低下し、疲れやすくなり、そのままでは改善が見られず悪化し、動くことができない状態になっていきます。そればかりか高齢者になると免疫力も低下し、先に述べた感染症も重症化しやすくなります。フレイルからの感染症に負けないために、フレイルの兆候に気づき、適切な予防や治療を行うことで、フレイルは改善が見込めます。
フレイル予防のポイント
フレイル予防は栄養(食と口腔)、運動、社会参加を実践することが継承されています。次の3点が予防に繋がります。
1.人混みを避けながら外で軽度の運動
2.食欲がない時でもバランスの良い食事を三食欠かさず食べ、口腔は清潔に保つこと
3.孤独を防ぐこと
免疫力を上げるフレイル予防の食事
免疫とは体内で発生したウイルスなどを常に監視し撃退する自己防衛システムのことです。免疫はたくさんの細胞が協調しあって動いています。もしもウイルスが侵入してきたとしても、免疫力が強いと、さまざまな免疫細胞が連動し、ウイルスなどを死滅させることができます。しかし、免疫力が低下しているとフレイルも改善できません。免疫は造血幹細胞という細胞が成長してできる細胞ですので食事が減少していくとその細胞も減少してしまいます。
ではそのようにならないために普段の食事は何を取り入ればよいでしょう。
今回は、エネルギーを整える食生活の基本としてエネルギーを取り上げています。
1.エネルギーを作るために大切な三大栄養素とビタミン、ミネラルをバランスよく摂取すること
2.主食、主菜、副菜、牛乳、乳製品、果物をそろえること
3.必要量を食べること
4.おいしくたのしく食べること
フレイルの一番の原因は筋肉の衰えにあります。筋肉は加齢による筋肉の減少が原因で起こります。筋肉はたんぱく質(特に分岐鎖アミノ酸の多い食品)をしっかり食べることが必要です。たんぱく質の摂取量が少ないと、頭脳活動の低下、貧血、出血しやすい、体力が落ちる、気力低下となり、免疫力低下のリスクが高まります。オメガ3脂肪酸(EPA DHA)の不飽和脂肪酸には炎症を抑制します。そればかりでなく組織保護などの働きをします。
免疫細胞の約6割は腸にあります。免疫細胞を活性化させるには、腸内の善玉菌を増やすことが大切です。善玉菌は善玉菌のえさになる食物を増やすことで、ヨーグルトなどの乳酸菌飲料、食物繊維があげられます。それ以外にも食事に含まれる栄養素はたくさんの効果をもたらし免疫力を上げます。
免疫力の上がる食事例

しっかりと御飯、たんぱく質、脂質を摂りエネルギーや筋肉を蓄えます。
脂溶性ビタミンであるビタミンAをはじめ、ビタミンD(魚介類・きのこ類)やビタミンEを多く含んでいます。 ビタミンDには骨の形成や維持に必要なカルシウムやリンの吸収を助ける働きがあります。ビタミンEやAには抗酸化作用があります。
最後に自宅に閉じこもりフレイルが進行しないよう、免疫力が高まるバランスの良い食事を摂り、外にでたら友達と軽く運動したり、おいしい食事を食べながらよく笑って楽しく過ごしましょう。
筆者

管理栄養学科教授
学部長 田中 弥生
患者様とどのように接しているか
BALENA 認定栄養ケア・スーテーション、関東学院大学認定栄養ケア・ステーションの代表を担い、地域の高齢者や療養者の方々に接している。
卒業した学校
筑波大学大学院 スポーツ医学(博士)
好きな食べ物
ふかひれスープかなぁ、、、こりこりしたものが好き!!