mealtime

食べる力が未来を支える。サルコペニア予防の栄養の話(遠藤 愛月)

●はじめに

年齢とともに「なんとなく疲れやすくなった」「歩くときに少し不安定かもしれない」と感じることはありませんか?もしかするとそれはサルコペニアのサインかもしれません。サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことをさします。放っておくと転倒しやすくなったり、日常生活がしづらくなることがあるため早めのケアが大切です。ここでは毎日の食事を通してサルコペニアを予防するために、今日から取り入れやすい食事のヒントをご紹介します。

●筋肉の材料「たんぱく質」をしっかりとるコツ

筋肉量を維持し、体重を減少させないようにするには、栄養素の中では特にたんぱく質の摂取が重要です。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、高齢者では1.2g/kg/日以上摂取する方がフレイル及びサルコペニア発症を予防できる可能性があると示されています。例えば、体重50kgの方ではたんぱく質60g/日以上が目安となります。

ただし「そんなに食べられない」「毎食しっかり作るのが大変」という声も多く聞かれます。そこで意識したいのが、1回の食事で少しずつ無理なく摂ることです。朝・昼・夕それぞれに、たんぱく質源となる肉・魚、卵、大豆製品、乳製品のどれかを取り入れましょう。食事量が少ない人は間食で補うのも良いですね。


・朝:卵料理やヨーグルト
・昼:肉・魚のおかず
・夜:肉・魚+豆腐や納豆 ・間食:ヨーグルト+蜂蜜+きなこ、牛乳、プリン

●「エネルギーアップの工夫」

たんぱく質と合わせて意識したいのが、十分なエネルギーの摂取です。高齢になると、食欲が落ちたり、十分な食事量が食べられなくなったりしがちです。しかし食事量が減ると体はエネルギー不足となり、せっかく摂ったたんぱく質が筋肉作りに使われにくくなります。

・いつもの料理に+α
シチューやスープに牛乳を使用する、ごはんに卵や鮭フレークを+する、パン食の場合にはバターやチーズをのせる、サラダにツナを加えたりマヨネーズをかけたりする。味噌汁に卵を落とすなどの方法があります。
油はカロリーが高いので、炒め物や揚げ物など油を使用する調理法はカロリーupにつながります。また、ビタミンAやビタミンDなどの脂溶性ビタミンは、油と一緒に摂取することで吸収率が上がります。

●食べたくなる工夫

「食べたい気持ちがわかない」「多くは食べられない」そんな時は誰にでもあります。食欲がない時は、食べやすい工夫を加えるだけで食事が前向きになります。健康のための食事とはいえ、食べることが楽しいという気持ちが大事です。

・季節の食材を取り入れる
旬の食材は栄養価が高く、味も濃いため食事の満足感を高めてくれます。
・視覚や嗅覚を刺激する
視覚:など彩の良い食材を使うと見た目が華やかになり食欲をそそります。
嗅覚:出汁の香りをきかせる、しそや生姜などの薬味を使用すると食欲を刺激するスイッチとなります。
・食べやすい形にして負担を減らす
噛む力や飲み込む力が弱い場合には調理法を工夫しましょう。肉の筋を切ったり、野菜の繊維を断ち切るように切ると食べやすくなります。また、軟らかく煮込む、一口サイズや食べやすい形に刻むなど、小さな調整で食べやすさが大きく変わります。

●おわりに

サルコペニア対策は、特別なことを始める必要はありません。毎日の食事を少し見直し、「たんぱく質を意識する」「食べやすい工夫をする」ことが第一歩です。体調や持病によって配慮が必要な場合もありますので、不安があるときは医師や管理栄養士に相談してください。1日1日を健康に過ごせるように、今日の「mealtime=食事時間」からできることを始めてみましょう。

筆者

社会医療法人近森会近森病院 臨床栄養部 管理栄養士 遠藤 愛月

患者様とどのように接しているか

優しい雰囲気で話をするよう心がけています

卒業した学校

高知県立大学

好きな食べ物

納豆、ラーメン