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サルコペニアの予防方法 ~朝たんのすすめ~(若林 美希)

1. サルコペニアとは

「筋肉が減るのはお年寄りになってから」と考えている方も多いと思いますが、実は、私たちの筋肉量は20代でピークを迎え、30〜40代を過ぎると、ゆっくりと、確実に減少し始めます。そして60歳を超えると、その減少スピードはさらに加速します。

このような、加齢や生活習慣によって筋肉の量が減ってしまう状態を「サルコペニア」と呼びます。筋肉が減ると、単に力が弱くなるだけではありません。血糖値が上がりやすくなったり、免疫機能が低下したりと、全身の健康に影響を及ぼします。

2. なぜ「朝食のたんぱく質」が重要なのか

私たちの筋肉は、常に「合成」と「分解」を繰り返しています。筋肉を維持、または増やすためには、合成が分解と同じか、それ以上である必要があります。

しかし、多くの人のたんぱく質の摂り方は、「朝は少量、昼はそこそこ、夜にたくさん」というパターンに偏りがちです。理想的なのは、朝・昼・夕の3食で均等にたんぱく質を摂ることです。

なぜこの偏りが問題なのでしょうか?夕食から翌朝まで、私たちの体は長い絶食状態にあります。その状態でたんぱく質が極端に少ない朝食をとると、体は筋肉の「合成」よりも「分解」が優位な状態に陥ってしまいます。つまり、知らず知らずのうちに、自らの筋肉を分解してしまっているのです。

3. 1日のたんぱく質目安

筋肉の合成を促すために理想的な、1食あたりのたんぱく質の目標量は20〜30gです。簡単な目安としては手のひらサイズです。肉や魚などの主なたんぱく源であれば、「手のひら(片手)にのる程度」が一食分の目安となります。具体的に、たんぱく質20gがどのくらいの量なのかを見てみましょう。

4. 朝食で手軽にたんぱく質を摂る方法

あなたが「健康的」だと思っている朝食は、本当に筋肉のためになっていますか?例えば、以下のような朝食は、実はたんぱく質が不足しがちです。

これらの食事が必ずしも「不健康」というわけではありません。しかし、朝一番に筋肉の合成スイッチを入れるために不可欠な、たんぱく質が決定的に不足しているのです。夕食から次の日の朝食までは時間が空くため、たんぱく質が不足しやすいです。そのため、朝のたんぱく質が重要です。
一つの食品だけで20gを摂るのは大変に感じるかもしれませんが、大切なのは組み合わせです。だからこそ、次の「ちょい足し術」が効果的なのです。

5. すぐできる「+1品」アイデア

毎朝完璧な高たんぱくメニューを用意するのは大変です。そこで始めたいのが「ちょい足し術」。いつもの朝食に一品加えるだけで、たんぱく質量は大きく改善できます。

これらの簡単な工夫を組み合わせれば、合計で15g以上のたんぱく質アップも夢ではありません。ツナ缶やサラダチキン、豆腐、ヨーグルトといった便利な市販品を活用すれば、この「ちょい足し術」はさらに簡単になります。

完璧に20gを目指せなくても、このように10g以上をプラスするだけで、筋肉の分解が優位になる朝の体を、力強い合成モードに切り替える大きな一歩となります。あなたの体は、あなたが食べたもので作られます。明日の朝、あなたは何で自分の体を作りますか?

筆者

金沢医科大学 氷見市民病院
栄養部 管理栄養士 若林 美希

患者様とどのように接しているか

笑顔を心掛け、気さくに話してもらえるような関係づくりを目指していま

卒業した学校

岐阜女子大学

好きな食べ物

激辛料理