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食事バランスを意識して、しなやかな体をつくりましょう(長谷川 健二)

 今まで多くの先生方が栄養素や栄養について詳細にご説明頂いておりますので、今回は当院でフレイル・サルコペニア予備軍の方及びそのご家族様に対し私たち栄養科職員が意識している事を記載させて頂きます。

 フレイルやサルコペニアの予防には、バランスの取れた食事と十分な栄養摂取が不可欠です。私たちは栄養素の特性を意識しながら食事を楽しむことや食べる行為そのものが健康に繋がると信じ、対象者様及びご家族様に説明をさせて頂いております。

 最近は固有栄養素の有用性について様々な情報がありますが、食事バランスが悪いとせっかくの有用成分も体の中で上手に働くことが出来ません。有用性の多い固有食品はもちろん大切ですが、基本的な炭水化物やたんぱく質、脂質のバランスが最も重要だと感じています。上記三大栄養素のバランス摂取があってこそ、それぞれの栄養素が本来持つ力を発揮でき、食べたものがより効率的に私たちの身体を作るものと考えるためです。

 上記内容を踏まえ以下に当院でお話させて頂く具体的な内容を項目別に記載させて頂きます。何かの参考になれば幸いです。

1. 食事は楽しんで食べましょう

・多様な食材を意識する  : 旬の食材や、普段あまり食べない食材を積極的に取り入れましょう。
・食事は楽しんで食べよう : 盛り付けや会話等を楽しみ食事の満足度を高めましょう。

2. 食事はよく噛んで食べましょう

・消化吸収の促進 : よく噛むことで消化吸収がスムーズになり体に優しい食べ方になります。
・満腹感の獲得  : 少量でも満腹感が得られやすくなり食べ過ぎを防ぎます。
・脳の活性化    : 咀嚼は脳を刺激し認知機能の維持にもつながります。

3. 栄養バランスの調整

・三大栄養素のバランス : 炭水化物、たんぱく質、脂質はバランスよく摂りましょう。
・ビタミン・ミネラル     : 野菜や果物を積極的に摂りビタミンやミネラルを補いましょう。
・水分補給         : こまめな水分補給が大切です。

4. 食生活のアドバイス

・朝食の重要性     : 朝食をしっかりと摂ることで、生活リズムが作られます。
・間食について      : 頻繁に小腹が空く時は食事量が少なくないか確認しましょう。
・食事の回数を増やす : 食事をまとめて食べる事が難しい場合は、少量ずつ回数を増やして食べましょう。
※血糖が上がりやすい方は適時調整が必要です。

5. 生活習慣について

・睡眠       : 質の高い睡眠をとることで食欲が改善し、栄養素の吸収が効率的に行われます。
・運動       : 軽い運動をすることで筋肉量を維持し基礎体力が向上します。
・ストレス管理  : リラックスできる時間を作り、ストレスを溜めないようにしましょう。

まとめ

 フレイル・サルコペニアの予防には効率的な栄養摂取が非常に重要な事は多くの方々が感じていると思います。ご自身では健康に気を付けていても、今後の健康状態について不安に思われることもあると思います。私たち栄養士は一人ひとりの患者様の嗜好や生活習慣を大切にし、無理なく続けられる食事のアドバイスを目指しています。食事を楽しむことやバランスの取れた食事をよく噛んで食べて頂く事は、皆様が健康な身体を維持する助けとなると信じています。
 当院におきまして栄養不良を思われる患者様も診察時に自らお伝えになられることは少なく、他科受診時に医師の総合判断よりサポートが始まる事例が多数確認されております。もし心当たり若しくは不安なお気持ちがあれば一人で考え悩むより、チームで考えた方が良いアドバイスができると思っております。ご覧になっている皆様でもし不安に思われる方がいらっしゃいましたら、是非通院時等に一歩踏み出し、かかりつけの医師や栄養士にご相談してみたらいかがでしょうか?きっとよいフォローが頂けると思っております。

筆者

岡本石井病院 栄養科
管理栄養士 長谷川 健二

患者さまとどのように接しているか

習慣は可能な限り容認し要所をしぼったアドバイスを心がけています。

卒業した学校

埼玉県栄養専門学校

好きな食べ物

自作のサラダチキン