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間食を上手に利用して、低栄養予防を(北谷 彩香)

 栄養食事指導中に高齢の患者さんから「私はあまり動かないから、そんなに食べなくてもいいのよ。」「食欲がないから、朝はコーヒーだけ。」「ご飯と漬物さえあれば十分よ。」という言葉を聞くことがあります。このような発言は低栄養状態もしくは低栄養になりやすい状態かもしれません。

 高齢者は移動能力や体力の衰えにより、買い物頻度の減少、重たいものを運びにくい等から食材の確保が難しく、購入する食品が偏ることがあります。また腰痛などで長時間の立位ができず調理作業が難しく、簡単に食べられるものばかりになることがあります。

 他にも口腔機能や身体機能の衰えにより食欲がない、歯のかみ合わせが悪く食べやすい食品で毎日同じような食事内容になるなど身体的、精神的、社会的要因が食行動に影響し、低栄養状態になりやすいのです。そこで今回は低栄養予防の食事のポイントを紹介します。

①バランスの良い食事を心がけましょう

栄養バランスの良い食事を食べると言われると、難しいような気がしますが、まずは毎食、主食・主菜・副菜の3つの器をそろえるように心がけましょう(図1)。 主食はご飯、パン、麺類、芋類などで炭水化物を多く含み、エネルギーのもとになります。主菜は肉、魚、卵、大豆製品などでたんぱく質を多く含み、身体をつくるもとになります。

 副菜は野菜、海藻、きのこ類、こんにゃくなどでビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含み身体の調子を整えます。それぞれ、役割が異なるためこの3つの器をそろえるとバランスの良い食事になります。

 そしてこの3つの器に加えて、たんぱく質やカルシウムが多い乳製品や炭水化物やビタミンが多い果物を1日に12回程度摂取するとよりバランスが良くなります。

図1 バランスの良い食事にするには

②間食を利用しましょう

 食欲が低下している時は13回の食事だけでは必要なエネルギーや栄養素を満たすことができません。そこで不足する栄養素を補うために間食を食事の一部分として取り入れてみましょう。

 間食と聞くと子供のおやつのイメージが強く、お菓子を食べることを想像される方が多いかもしれませんが、間食も食事と同様、食べる内容が重要です。例えばおやつのせんべいをチーズや魚肉ソーセージに変更すると、蛋白質やカルシウムを摂取することができます。甘い物が食べやすい方はチョコレートや飴よりも豆菓子やプリンの方が蛋白質を多く摂取することができます。他にも炭水化物、ビタミンが摂れる果物もおすすめです。特にキウイフルーツやバナナは果物の中でも様々な栄養素が高濃度に含まれています。

 間食は食事が食べられる程度に数回取り入れてください。食べることが難しい場合は1日に摂取する水分をお茶から牛乳へ変更する等でもエネルギーやたんぱく質を補給することができます。

③栄養補助食品を利用してみましょう

 最近ではドラックストアやコンビニ等で手軽に栄養補給ができる栄養補助食品が販売されています。5大栄養素(エネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)を摂れるものやビタミンに特化した飲み物、ゼリー、クッキーなどのいろいろな特徴を持っているものが各社販売されています。

 食欲がないときや買い物に行けない時には栄養補助食品を常備し上手に利用していきましょう。他にも完全栄養食として、1日に必要な栄養素を全て網羅したパンやカップ麺等も販売されています。ご自身にあった食品を探してみてください。 

 高齢者は口腔(嚥下・咀嚼)機能の低下や消化機能の衰えから食事量の減少していることがあります。煮物や野菜などのあっさりした食品を選ぶことで、たんぱく質・脂質が不足していることも考えられます。

 自分でできる確認方法として体重計測を定期的に実施し、体重の増減で栄養の過不足がないかのバロメーターにすることもお勧めです。ぜひご自身又はご家族の食事内容を一度振り返って、低栄養予防に努めましょう。

筆者

聖マリアンナ医科大学
横浜市西部病院
栄養部
管理栄養士 北谷彩香

患者様とどのように接しているか

一人一人の食生活に合わせたサポートを心がけている

卒業した学校

活水女子大学
同志社女子大学大学院

好きな食べ物

すいか
黒糖かりんとう