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フレイル予防のための食事のコツ(髙﨑 美幸)

フレイルって言葉を聞かれたことがありますか?

 「フレイル」とは、「身体機能」という”体を動かす力”が低下し、介護は必要ではないけれど、日常生活動作に衰えがみられる状態のことを言います。介護が必要となる”一歩手前”の状態です。例えば、歩く速度が遅くなる、階段の昇り下りがきつくなる、物を握る力が弱くなる、という状態です。こちらのチェック(図1)を行ってみてください。私は1項目のプレフレイルでした。皆さんはいかがでしたか?多くの方はフレイルの状態を経て、要介護状態になると言われていますが、早めに気づいて適切な取り組みを行うことで、健康な状態に戻ることができます。

図1 フレイルチェック


痩せてきたら要注意

 メタボ対策に取り組まれてきた方も多くいらっしゃるかも知れませんが、高齢になると太っている人より、痩せている人の死亡率が高くなります。65歳を過ぎて病気でもないのに痩せてきたら、フレイル予防へのギアチェンジの合図です。


フレイル予防の3つのポイント

1.栄養:食事は元気の源です。健康寿命の鍵を握る「たんぱく質」、不足しがちな「ミネラル(カルシウム、鉄分、カリウム、亜鉛)」、骨や歯・筋肉の健康を保つ「ビタミン(ビタミンD、B6)」を摂るようにします。またお口の健康(口腔ケアといいます)にも気を配ることを忘れないで下さい。

2.身体活動:ウォーキングやストレッチなど身体を動かすことは、筋肉の維持・発達だけでなく、食欲や心の健康にも影響します。

3.社会参加:趣味やボランティア・お仕事などで外出することはフレイル予防に有効です。


フレイル予防のための食事の摂り方

1.フレイルを防ぐには筋肉の維持(=貯筋)が重要

 フレイルという状況は、筋肉量の低下が原因です。筋肉量が減っていると、足に力が入らず、ほんの少しバランスを崩しただけで体を支え切れなくなり転んで骨を折ってしまうリスクもあります。年齢を重ねるにつれて筋肉量は自然に減っていきます。通常30~40代をピークに年1%ずつ減少するので、ピーク時と比較した筋肉量は50代で80%、70代なら60%となります。この加齢に伴う筋肉量の減少をなるべく避けるためには、日々、筋肉量を維持する工夫が必要となります。老後に備えて「貯金」だけでなく、虚弱を防ぐための筋肉量の維持、すなわち「貯筋」を行いましょう(図2)。貯筋のためには、栄養を摂ったうえで身体を動かすことが必要だということも覚えておいてください。

図2 貯金と貯筋


2.筋肉の減少をきたしうるカロリー摂取不足を避ける

 カロリー摂取量が消費量を上回る場合、食事から摂った糖質・脂質の余剰分は、体脂肪として蓄えられます。逆に、カロリー摂取量が消費量を下回る場合は、食事から摂る糖質・脂質が足りないため、体の活動に必要なエネルギーを補うために体脂肪が分解され、体は痩せます。まずは、身体が痩せないようエネルギー不足を避けることが必要です。自分自身がカロリー不足かどうかは、体重を測ることで判断できます。体重が「月単位で」減っている場合は、「脂肪や筋肉が少しずつ減少している」、つまり、「カロリー摂取量がカロリー消費量を下回っているエネルギー不足の状態」であると考えられます。ご自宅等で定期的にご自身の体重を確認しておくことをおすすめします。

3.朝食でもたんぱく質を摂ることが、「貯筋」の鍵となる

 「貯筋のための食生活」のポイントは、カロリー不足を避けること、摂りだめの出来ないたんぱく質を毎食摂ることです。特に朝ごはんのたんぱく質が不足している人が多いことが分かっているので、朝ごはんのたんぱく質を意識して、(例えば卵を1個加えるとか牛乳を飲むなどで)摂ることが鍵になります。皆さんも、朝食でたんぱく質をしっかり食べていないことが多いのではないでしょうか?筋肉量の維持・増加のために、朝ご飯を見直す意義は大きいと言えます。


 ここでは、一般的なコツをお伝えしました。詳細には、お一人お一人の身体状況や食生活によって調整できれば尚良いです。お気軽に栄養士に聞いてみてください。


筆者

東葛クリニック病院将来構想戦略室CA(チーフアドバイザー)

松戸市医師会 松戸市在宅医療・
介護連携支援センター


管理栄養士 髙﨑 美幸


患者様とどのように接しているか

患者さんを専門職の目線で丸ごと捉えて、家族のように寄り添い、役立つことを考えて接しています。

卒業した学校

名古屋栄養短期大学
多摩大学大学院 経営情報学研究科

好きな食べ物

すいか