mealtime

心と身体、やさしいリズム。季節の味わいで、笑顔あふれる毎日を。(土屋 文美)

 低栄養を予防したり改善したりするために、バランスのとれた食事を通じて身体に必要な栄養素を摂り、適度な運動を継続していくことが大切であることは、皆さんご存知の通りだと思います。何をどのくらい、どのような組み合わせで食べるのがより良いのかについては、前回までに詳しく紹介されていますのでぜひアーカイブもご覧いただければ幸いです。

今回は少し視点を変えて、日本の四季を通じて「食べる」ということについて考えていきたいと思います。

1.二十四節気とは

 四季折々の美しい自然のリズムは、私たちの心と身体に深い影響を与えます。日本の文化では、二十四節気がその変化を捉え、季節の美しさや生活のリズムを感じさせてくれます。皆さんの中には二十四節気という言葉はあまり聞いたことがなくても、立春、春分、夏至など、季節を表す言葉としてカレンダーなどで一度は目にしたことがあるのではないかと思います。二十四節気(にじゅうしせっき)は、1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもので、「節(せつ)または節気(せっき)」と「気(中(ちゅう)または中気(ちゅうき)とも呼ばれる)」が交互にあります。1) 先人たちはこれらの節気を通じて、心地よいリズムの中で、自然とともに豊かな人生を築いてきました。

2.二十四節気と食事

 季節の変化に合わせた食事は、二十四節気の理念に根ざしています。春は新芽が出る季節であり、新鮮な野菜や果物を摂ることで新陳代謝を促進します。夏には暑さによる水分不足に備えて水分補給を心掛けつつ、たんぱく質を摂ることでスタミナを保ちます。秋は収穫の時期であり、栄養価の高い根菜や穀物を摂り入れて免疫力を高めます。冬には寒冷に備えて温かい食事を重視し、身体を温める食材を選びます。

 1月は小寒から大寒の時期にあたり、1年で一番寒さが厳しく、来たる春を待ち遠しく思う頃にあたります。ここでは小寒から立春、啓蟄までの季節の変化に応じた食事の工夫についてご紹介したいと思います。

小寒(しょうかん)1月5日頃- 寒さをしのぐ温かい食事と適度な運動

 小寒はまだまだ寒さが続く季節です。体温を保ちながら栄養を摂るために、温かいスープや煮込み料理、温かい飲み物を意識的に摂ることが重要です。また、冷えた身体は筋肉の衰えを招くため、適度な運動を心掛け、身体を温めましょう。散歩やストレッチなど、寒い季節でもできる軽い運動が有効です。

大寒(だいかん)1月21日頃- 栄養豊富な食材を活かした食事と積極的な交流

 大寒は冷え込みが一段と厳しくなる時期です。この時期には、栄養豊富な食材を積極的に摂ることが重要です。具体的には、魚、豆腐、野菜などのタンパク質やビタミンが豊富な食品を摂り入れ、筋肉や骨の健康をサポートしましょう。また、季節の変わり目は孤立感が増す時でもあるため、友達や家族との交流を大切にし、心の健康も保つことが重要です。

立春(りっしゅん)2月4日頃- 春の訪れと新たな食材の活用

 立春は寒さが和らぎ、春の兆しが感じられる季節です。この時期には、新たな季節の食材を活かした食事がおすすめです。旬の野菜や果物を積極的に摂り入れ、バラエティ豊かな食事を心がけましょう。また、新しい季節に向けてのウォーキングや軽い運動を取り入れ、心地よいリズムの生活をはじめましょう。

啓蟄(けいちつ) 3月5日頃- 活力を引き出す食事と積極的な活動

 土が温まり、生命の息吹が感じられる季節、啓蟄。この時期は活力を引き出すために、バランスの取れた食事が大切です。タンパク質、ビタミン、ミネラルを意識的に摂り、筋肉や骨の健康を保ちましょう。また、積極的なアクティビティも重要であり、趣味や興味を持ちながら過ごすことで心身の健康をサポートします。少しずついろいろな花が咲き始める頃でもあります。それらを見に出かける計画をたててもよいのかもしれません。

 寒暖差や気象の変化に合わせて、バランスのとれた食事、運動、心のケアを行うことで、心と身体の健康を維持し、笑顔あふれる毎日を迎えることができるでしょう。自分の体調や状態に合わせて、季節ごとの生活習慣を見直し、心地よいリズムを築くことが、健康的で充実した生活への一歩となるのではないかと思います。
食べることは、生きること。「人生100年時代」をいつまでもいきいきと暮らしていけるよう、栄養をしっかり摂りつつ、そして何より食事を楽しんでいきましょう。

参考) 1)二十四節気(にじゅうしせっき) | 日本の暦 (ndl.go.jp)

筆者

済生会横浜市東部病院
栄養部 管理栄養士
土屋 文美 

患者様とどのように接しているか

患者さんお一人おひとりが大切にされているものはなにか、困っていることや不安に思うことはどんなことなのかなど、言葉だけではなく表情やしぐさなどもふくめ、まずは傾聴することを大切にしています。また、話しやすいと感じてもらえる雰囲気づくりをこころがけています。

卒業した学校

神奈川県立保健福祉大学大学院

好きな食べ物

たくさんありすぎて選べませんでした