サルコペニアの予防と栄養(渕瀬 美希)
サルコペニアとは、ギリシャ語で「サルコ=筋肉」、「ペニア=喪失」を組み合わせた言葉で、加齢や疾患により筋肉量が減少することで、「筋力が低下する」「歩くスピードが遅くなる」「杖や手すりが必要になる」など、「身体機能の低下が起こる」状態のことをいいます。
サルコペニアを予防するためには、十分な栄養の摂取や体力維持・筋力増加のための運動を行うことが重要です。65歳以上の高齢者の低栄養傾向の割合は、男性で12.2%、女性で22.4%と報告されています。※1 また、加齢に伴い、筋肉量は若い頃と比較し、減少してきます。
食事は、「主食」「主菜」「副菜」をバランス良く摂取し、特に筋肉量低下防止のためにたんぱく質をしっかり摂りましょう。たんぱく質は体内で合成することの出来ない良質なたんぱく質(分岐鎖アミノ酸)が多く含まれる食品がおすすめです。分岐鎖アミノ酸の多い食品は、鶏ささみ、鶏ムネ、かつお、鮭、まぐろの赤身、卵、高野豆腐、納豆等があります。
今回は、「鶏ささみ」の栄養と調理ポイント、レシピについてまとめました。
「鶏ささみ」の栄養と調理ポイント
【栄養】
鶏ささみは良質なたんぱく質=分岐鎖アミノ酸が豊富です。また、鶏肉の中でも脂肪が少ない部位で低エネルギーです。さらに、たんぱく質の代謝に必要なビタミンB6も含まれており、筋肉の回復をする働きがあります。

【調理ポイント】
鶏ささみは、加熱時に肉が縮み、硬くなりやすいため、筋を取り除いてから調理をしましょう。
【レシピ】
「鶏ささみのポン酢マヨ焼き」
【材料】(2人分)
・鶏ささみ…200g(筋を取り除いておく)
・片栗粉…大さじ3
・サラダ油…大さじ1
(A)
・減塩しょうゆ、酒、カロリーハーフマヨネーズ…各大さじ1/2
(B)
・ポン酢しょうゆ…大さじ2
・砂糖、カロリーハーフマヨネーズ、炒り白ごま…各大さじ1
(お好みで)小葱、みょうが等

【作り方】
- 1、鶏ささみは、真ん中に1本切り込みを入れて開き、長さを2等分にする。
- 2、1とAをポリ袋に入れ、揉みこみ10分置く。
- 3、片栗粉を別のポリ袋に入れ、2を入れて片栗粉をまぶす。
- 4、熱したフライパンにサラダ油を入れ、3を中火にかけて3分焼く。
- 5、焼けたら裏返し、蓋をして弱火で3分焼く。
- 6、ペーパータオルでフライパンの余分な油を拭き取り、混ぜ合わせたBを入れ、全体に煮からめる。
- 7、お好みで小葱やみょうがを散らして出来上がり。
~栄養成分~(1人分)
エネルギー 282Kcal 、たんぱく質26.4g、脂質11.8g、食塩1.9g
~ポイント~
マヨネーズやごまを使用することでコクと旨味がアップします。
良質なたんぱく質を日常の食事で取り入れることで、サルコペニア予防に繋げていきましょう。
※1「国民健康・栄養調査」(2023年)より
※2日本人の食事摂取基準(2025年度版)より
筆者

札幌北辰病院 栄養管理室
管理栄養士 渕瀬 美希
患者様とどのように接しているか
「傾聴」することを第一に、患者様が求めている事に対して対応出来るよう心掛けています。
卒業した学校
天使大学 看護栄養学部栄養学科
好きな食べ物
チョコレート、寿司