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食事からはじめるフレイル予防―管理栄養士が伝えたい、元気な毎日を支える食事のコツ―(松永 裕美子)

 年齢を重ねるにつれて、「食が細くなった」「体力が落ちてきた」と感じることはありませんか。こうした変化の背景には、「フレイル」と呼ばれる状態が関係していることがあります。フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間にあたる段階で、適切な対策を行うことで、再び元気な状態に戻ることができるのが特徴です。

 フレイル予防の大きな柱の一つが「食事」です。特に重要なのは、「しっかり食べること」と「必要な栄養をバランスよく摂ること」です。しかし実際には、「何をどれくらい食べればよいのかわからない」という声も多く聞かれます。そこで今回は、日々の食事の中で無理なく実践できるポイントをご紹介します。

 まず大切なのは、「たんぱく質を意識すること」です。たんぱく質は筋肉の材料となる栄養素で、不足すると筋力低下、すなわちサルコペニアにつながります。肉・魚・卵・大豆製品などを毎食取り入れることを意識しましょう。「朝は食べられない」という方でも、ヨーグルトや牛乳、ゆで卵など、手軽に食べられるものから始めるのがおすすめです。

次に、「エネルギー不足を防ぐこと」も重要です。食事量が減ると、体は筋肉を分解してエネルギーを補おうとするため、結果として筋力低下が進んでしまいます。特に高齢の方では、食べる量そのものが減りがちですので、少量でも栄養価の高い食事を心がけましょう。例えば、ごはんに少量の油を使ったおかずを組み合わせる、間食としてチーズやナッツを取り入れるなどの工夫が有効です。

また、「多様な食品を食べること」もフレイル予防には欠かせません。特定の食品に偏らず、主食・主菜・副菜をそろえることで、ビタミンやミネラルもバランスよく補うことができます。日々の目安として、東京都健康長寿医療センター研究所 が開発した「食品摂取多様性スコア」を構成する10の食品群の頭文字を覚えやすくした合言葉である「さあにぎやかにいただく(魚・油・肉・牛乳・野菜・海藻・いも・卵・大豆製品・果物)」といった食品群を意識するのも一つの方法です(図1)。

図1 健康長寿の『食べる』のポイント いろいろ食べポ

さらに、「食べる楽しみを大切にすること」も見逃せません。食事は単なる栄養補給ではなく、生活の質(QOL)を支える重要な要素です。誰かと一緒に食べる、好きなものを取り入れる、季節感を楽しむといった工夫は、食欲の維持にもつながります。

最後にお伝えしたいのは、「できることから始める」ということです。すべてを完璧に実践する必要はありません。「今日はたんぱく質を一品増やしてみる」「間食を少し工夫してみる」といった小さな積み重ねが、将来の健康につながります。

フレイルは、早めに気づき、適切に対応することで予防・改善が可能です。毎日の食事を少し見直すことが、これからの人生をより元気に、より自分らしく過ごすための第一歩になります。ぜひ、ご自身やご家族の食生活を振り返るきっかけとしていただければ幸いです。

出典:東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加とヘルシーエイジング  研究チーム(https://healthy-aging.tokyo/zenkokuban/

筆者

相模女子大学 栄養科学部
管理栄養学科 専任講師
管理栄養士 松永 裕美子

患者様とどのように接しているか

笑顔!高い知識と技術を持ち、身近で寄り添うこと

卒業した学校

相模女子大学 学芸学部 食物学科 管理栄養士専攻

好きな食べ物

果物