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自分に合った方法で、年齢に関係なくフレイル予防!(西田 有里)

 フレイルとは、年齢とともに心身の機能が衰え始めた状態であり、「高齢者の特徴の一つ」というイメージですが、早い段階から生活を見直し、改善、予防のために行動することはとても重要です。しかし、フレイルという言葉を耳にする機会はまだまだ少なく、若い世代では無関係と捉えている可能性があります。

 フレイルは【運動】【栄養】【口腔】【社会・心理】の4つの機能のバランスが関係しています。では、具体的には何をすれば予防につながるでしょうか。大阪府が配布している『フレイルって何なん?』というパンフレットには、フレイル予防に何ができるか具体的に示されています。また、そのほかにも、若い世代の人がフレイルを知るきっかけになるためのいろいろな資材が作成されていますので、簡単に紹介します。

1,リーフレット フレイル予防のためにできることから始めてみませんか?

~やったところに〇をつけてみましょう〜
●運動:スクワット、腕立て伏せ、上体起こし、エビ反りなど
●食事:主食・主菜・副菜が揃った食事
     たんぱく質を60g以上食べた(複数の食品から)
●口腔:歯磨きや口腔ケアを1日2回以上
     パタカ発声を1日1回
●つながり:1日1回家からの外出(買い物など)

2,基本フレイルチェックリスト (25項目編)

 ①から㉕までの質問に対して“はい”“いいえ”で答えます。“はい”の合計数によって4つのフレイル評価結果『あなたのフレイル度』がわかります。①から⑤と⑯から㉕の15問はつながり、⑥から⑩は運動、⑪と⑫は食事、⑬から⑮は口腔と、フレイルに関係している4つのカテゴリーに関する問いとなっているため、“はい”の数が多いカテゴリーを意識、改善にむけて行動することができます。

フレイルチェック (25項目編)詳細はこちら

3,ファンクショナルリーチテスト:動的バランスの評価

 『ファンクショナルリーチテスト』とは、体が動いているときに姿勢を崩さずにいられる能力を評価するテストです。壁に沿って立ち、地面と水平になるように腕を上げ、腕をまっすぐ前方に伸ばした距離を測ります。

ファンクショナルリーチテスト

4,握力測定

 握力は全身の筋力の「ものさし」といわれています。自身の全身の筋力が日本人の平均と比較してどのように違いがあるのかを知ることで、今後意識した生活を送ることができます。

握力測定チラシ

 本学での実習でも、実際に握力や身体計測を学生同士で測定し、全身の筋肉量や脂肪量で栄養状態を評価しています。痩せ、低体重だけが低栄養ではなく、筋肉量、筋力も評価し、フィジカルアセスメントの結果から得た情報の活用方法を学びます。学生の中には筋力、筋量が日本人の平均より低く、低栄養と判断されることがあります。若いうちから低栄養だと、生活習慣病になりやすい、要介護状態になりやすい、健康寿命が短いといった傾向にありますので、早い段階で早急に低栄養改善に取り組む必要があります。

【若い世代の低栄養、食生活の改善例】
▶朝食の欠食をやめる
▶炭水化物だけの食事を摂る回数を減らし、肉や魚も食べる
▶1日3食食べる生活リズムを目指す
▶高塩分、高脂質、高エネルギーの食事を知る
▶アルコールの適量、正しい飲酒の頻度を理解する
▶適度に体を動かし、空腹を感じる

さいごに

 大阪府では、大学の授業の中で学生がフレイルについて正しく学び、知り得た情報を家族や友人と共有し、より広くフレイル予防を啓発したいという取り組みがあります。年齢に関係なくフレイルに関心をもち、高齢社会をうまく生きる術を身につけましょう。

参考:大阪府ホームページ 働く世代からのフレイル予防
https://www.pref.osaka.lg.jp/o100070/kenkozukuri/kenkouzyumyouenshin/index.html

筆者

帝塚山学院大学食環境学部
准教授 管理栄養士
西田 有里

患者さまとどのように接しているか

優先順位を考えた提案を心がけています

卒業した学校

大阪市立大学大学院 生活科学部

好きな食べ物

おでん、わらび餅、無花果